東京都手をつなぐ育成会 60周年記念誌

育成会 60周年記念誌


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2親の会の活動会報誌「TOKYO手をつなぐ」「TOKYO手をつなぐ」編集委員長大塚晃私が東京都手をつなぐ育成会の発行する会報誌「東京手をつなぐ親たち」(現在の「TOKYO手をつなぐ」)の編集長になって10年が経過しようしています。この間のことを思い出して、特に印象に残っていることを書いてみます。会報誌は、どのような人に読んでいただきたいかと最初に考えました。現在の「手をつなぐ親の会」の結成に参加した東京の3人のお母さんのことが頭に浮かびました。1952(昭和27)年、東京都の小学校に開設された精神薄弱特殊学級に子どもを預けた知的障害児を持つ3人のお母さんたちが、障害のある子の幸せを願って「全日本精神薄弱児育成会」(いわゆる「手をつなぐ親の会」)を結成したと言われています。当時は、知的障害児に対する一般の市民の関心は薄く、知的障害児に対する教育や福祉の施策は他の障害分野と比較しても立ち遅れていました。これら知的障害児を抱える親御さんの苦労は、並大抵のものではなかったと想像します。その後、手をつなぐ親の会」は、教育、福祉、就労などの施策の整備・充実を求めて、多くの親御さん・関係者・市民の皆さんに呼びかけ、戦後の知的障害対策の進展に大きく寄与してきました。このような、知的障害のある方々自身を中心にそれを取り巻く家族や支援者の「今」を、会報誌を通して伝えられたら良いなと考えてきました。特に、育成会の原点である、東京都のお母さんたちに読んでいただきたい会報誌にしたいと今でも強く思っています。また、会報誌「TOKYO手をつなぐ」は、2017(平成29)年11月発行の550号から紙面を新しくしました。伝統ある会報誌ですので、その良さを残しながら読者のニーズに応えらえる誌面を目指しました。何よりも、的確な情報を「分かりやすく」伝えることが重要であると考えてきました。会報に関するアンケートでは、お気に入りのコーナーについて最大3つまで挙げていただいたところ、わかりやすい福祉制度のはなし」が、親の会会員の方々、東京都育成会の職員の方々、その他のすべての所属においても第一位でした。福祉制度への関心が高いことや、読者の皆様がその時々の「使える制度」などの時機を得た情報を求めていることを物語っています。この「分かりやすい」情報の提供は、今後の会報誌の誌面づくりにも引き続いていかしていきたいものです。最後に、前編集長の北澤清司先生のことが思い出されます。東京都育成会が発行してきた会報「東京手をつなぐ親たち」の前編集長であり、東京都育成会の理事や参与をなされてきた北澤清司先生のことが目に浮かびました。2016(平成28)年8月に「北澤清司先生を偲ぶ会」があり、偲ぶ会の世話人として閉会の辞を述べさせていただきました。北澤先生が知的障害分野の数少ない研究者・教育者であり、私の最初の職場の先輩でもあった(一緒に仕事をしたことはなかったのですが)ことで、気になる人ではありました。しかし、特に知的障害についての施策や研究について深く語り合う関係でもありませんでした。先生が高崎健康福祉大学の教授をなさっていた頃、私も住まいが高崎であったので、突然、先生から高崎駅で飲もうとお誘いを受けました。その後も、何回かお会いするうちに、先生の存在が054


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