東京都手をつなぐ育成会 60周年記念誌

育成会 60周年記念誌


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2親の会の活動知的障害者の理解促進と権利擁護「やってみようキャラバン隊〜楽しく学ぶ障害あるある〜」社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会副理事長東京都手をつなぐ親の会副会長森山瑞江今でこそ「キャラバン隊」は各支部に浸透していますが、5年前の2017(平成29)年頃ではこの活動をご存じの方や実施している地域はかなり少なかったのではないでしょうか。全国手をつなぐ育成会連合会の地域育成会活性化のための研修等事業にかかわる助成金を利用させていただき、2017年11月29日に杉並区手をつなぐ育成会と練馬手をつなぐ親の会が共催し、東京都各支部を対象とした「やってみようキャラバン隊〜楽しく学ぶ障害あるある〜」を実施しました。しかしこの時、私たち2支部は、まだ実際に活動をしていない、または数回見よう見まねで実施したことがあるといった状況の支部であり、まさに「やってみよう」は自分たちに向けられたものでもありました。まず①キャラバン隊について理解してもらい、実際に疑似体験を通じて今後の活動の理解者や、推進役を増やす。②立ち上げるための最初の一歩を促す機会とする。③私たち提供側も受け手側も、ともに「合理的配慮」について考える。これらを目的としました。とはいえ、どこか先進地域に実践してもらい、それを一つひとつ本来の意味の確認や深堀りをしていこうというどこか軽い気持ちでいたのです。ところが助言者としてお願いしていた関哉直人弁護士から、「ぜひ自分たちで」と思いがけないご提案をいただき、実践の少ない私たちは顔を見合わせたものでした。そこからねらいを再考し、①権利擁護、理解啓発におけるキャラバン隊の意味や合理的配慮についてのプログラムを入れよう。②疑似体験においてはただ先行のまねに終わらず、背景にある意味や本人の気持ちを想像しよう。③独自なものを生み出せるために基本も学ぼう。④自分たち親の会での実践に向けて課題を持ち帰ろう。以上の4点をねらいにしました。プログラムは、言葉の伝わりにくさ、見え方、気持ちと手指の協応の難しさなどについて寸劇や実践を交えて説明を加えました。参加者には、いつも一緒に生活している本人の気持ちを想像しながら改めて考えてもらいました。また、合理的配慮のグループワークとして「考えてみよう!こんな時どうする?」をテーマに、休日のファミリーレストランで食事をする場面を設定し、急に騒ぎ出す障害者とその家族、他のお客さん、店員のそれぞれの気持ちを想像してもらいました。そこからそれぞれが思いつく「合理的配慮」の意見が多く出され、それを分かち合いました。出された多くの意見には積極的な言葉がけや席を替わる、気にしないようにするといった配慮もあり、これが正解ということはありません。それぞれの立場を自分だったらと置き換えて、こんなことならできるということを考えること、また気づいてもらうことが大切だと思います。参加者からは、自分の子どもでありながら、今更その行動の意味を考えるきっかけになった、キャラバン隊により、地域の方に障害のある人たちとの関わりやそのきっかけにしてもらいたい、彼らがどうしてこんな行動052


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