東京都手をつなぐ育成会 60周年記念誌

育成会 60周年記念誌


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4事業東京都育成会の人材育成―えがおの輪を増やすために―社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会本部事務局次長上滝彦三郎働いて2年目になると新たな自己問答が生じるもの。入職したての頃のモチベーションを維持向上させるためにも「2年目研修」を設立しました。ベテラン研修は就業年数(経験)によって3つに分けて学ぶ体系としました。働いて3年から5年層を対象とした「初級中堅」群、同6年から8年層を「中級中堅」群、同9年目以上を「上級中堅」群と分けて各々に見合った研修を組立てました。なお、「実践事例発表会」は題目を変えながらも綿々と受け継がれています。また、スポット研修として自閉症支援や強度行動障害支援について学ぶ内容も新たに設定し、支援の専門性向上を目指すこととしました。e-ラーニング(ネットワークを活用した教育研修)も導入し、多くの内容を好きな時に学べるようにもしました。2022(令和4)年度、東京都育成会のキャリアアップ研修を更に中身の濃いものとしてマイナーチェンジして「より深くより広く」学べるようにしています。▪これまでもこれからも求められる人材像―あなたもわたしも幸せに新人職員の定着を図るには「研修の充実」のみならず「労働環境整備の推進」も不可欠です。支援を受ける側だけが笑顔になるのではなく、支援を提供する側も笑顔になることが肝心です。東京都育成会はより柔軟、かつ強固なキャリアアップシステムを構築し、あわせて働きやすい職場を作りだすことで支援者が福祉人として、職業人としてひいては人として成長できる環境を作りだします。「あなたもわたしもそして皆が幸せ」の実現を目指して、これからも「東京都育成会で働けてよかった」の思いを紡いでいきます。▪笑顔の輪が増えるように「笑顔の輪が一つでも増えて、そしてその輪が大きく広がる」ことを目指して、東京都手をつなぐ育成会(以下、東京都育成会という。)職員は日々、利用者や利用者周辺の方々の支援にあたっています。笑顔につながるサービスや利用者本位の質の高い福祉サービスを提供するために支援者には適切な知識や的確な技術力が求められます。適切、的確な知識や技術は一朝一夕に身につくものではありません。働き始めてからのステージ(段階)ごとに見合った、計画的な学びの場が必要となります。東京都育成会ではさまざまな学びの場を支援者のそれぞれの成長の度合い、ステージにあわせて提供しています。▪キャリアアップ体系の変遷約10年前、東京都育成会のキャリアアップ研修は次の内容を柱として構成されていました。新任職員研修及び新任研修フォローアップ研修」「中堅研修」ベテラン研修」、そして事業所(施設)を地域ブロックで分けた「ブロック研修」。例えば、2012(平成24)年度中堅研修では「ベテラン職員として事業所の中で果たすべき役割を考える」と題して綿祐二先生(日本福祉大学教授)に講義いただいています。ベテラン研修では「職員を育てる」「新時代の福祉職員のあり方」をテーマとして、綿祐二先生と久田則夫先生(日本女子大教授)に講義いただきました。ブロック研修は事業所を5群に分けて、ブロックごとにテーマを設けて研修を実施しています。あるブロックでは講師を招聘し、新たに始まった相談支援事業に関する勉強会を開催し、あるブロックでは「自分の施設の良いところをアピールしよう」と題して、各事業所のプレゼンテーションを行っています。▪現在のキャリアアップ体系その後、それまでの研修体系を更に堅牢なものにするために研修体系の枠組みを太くして、学ぶ内容(コンテンツ)を大幅に増やしました。新任研修は「法人を知る」「社会、職場の仕組み」「自分のために」を主軸テーマとして15前後の講座を設けて、全4日間のコースとしました。なお、新任研修では働くことの意義や、社会人としての順守ルールなどを学ぶだけではなく、都育成会の精神的柱となる「親の思い」を学ぶために、親の会会員による子育て記を聞き、思いを馳せるプログラムも用意・提供しています。074


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