東京都手をつなぐ育成会 60周年記念誌

育成会 60周年記念誌


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4事業この10年の暮らしの場の動向・障害の重い方を利用対象としたグループホーム社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会本部事務局次長牧野隆行(地域生活支援統括センター長)この10年、東京都、全国ともに共同生活援助(以下、グループホームという。)の利用者数が増加しており、加えて、施設入所支援(以下、入所施設という。)の利用者数の増加率を上回る状況が表1及び表2からわかります。表1全国のグループホームと入所施設の利用者数の推移全国グループホーム入所施設平成24年3月71,866人110,682人令和3年12月154,187人126,099人増加倍率2.14倍1.14倍表2東京都のグループホームと入所施設の利用者数の推移東京都グループホーム入所施設平成24年3月5,921人7,770人令和3年12月13,459人8,669人増加倍率2.27倍1.12倍東京都手をつなぐ育成会(以下、都育成会という。)のグループホームでは、平成24年(2012年)3月現在では、城東地域生活支援センター・城南地域生活支援センター・城北地域生活支援センター・多摩地域生活支援センター(以下、地域生活支援センターという。)が運営する121住居(以下、ユニットという。)のグループホームがありましたが、令和3年(2021年)12月現在では、地域生活支援センターが運営するユニットは97か所と減少しました。これは、全国的なグループホームの広がりやグループホーム制度の整備が急速に進み、時代の要請に応える形で、管理の仕組みの変更に伴うユニットの統廃合や住み替え、これまでの世話人の住み込みによる支援体制から複数の職員によるローテーション勤務への体制変更などの影響があります。一方、少しずつではありますが、重度知的障害の方が暮らせるグループホームの数を増やしており、これらの内容を表3にまとめました。表3東京都手をつなぐ育成会のグループホーム事業規模の推移令和3年12月都育成会地域生活支援センター区型グループホーム重度対応グループホーム平成24年3月121ユニット12事業所3事業所97ユニット1事業所6事業所10年前の平成24年(2012年)は都育成会のグループホームを取り巻く環境が大きく変化した年でもあります。変化の著しいグループホーム制度に地域生活支援センターも対応するために、地域生活支援センターを一元的に統括していたこれまでの地域生活支援統括本部から地域生活支援統括センターに名称を変え、それぞれの地域生活支援センターに施設長を配置することで、地域生活支援センターの機能強化を図りました。その後、譲渡特約付き借地権を活用した都育成会所有物件の確保、ユニットの運営を支えていた支援ワーカーの全てが国基準に定めるサービス管理責任者として専従配置、都内に増え続けるグループホームの人材育成を目的としたグループホーム人材育成事業を東京都より受託するなど、その役割をその時代に合わせた形で対応してきました。区立や市立の小規模の生活寮など(以下、区型グループホームという。)は、各地域に民営のグループホームが着実に増え始め、その役割の見直しの時期に差し掛かり、事業の廃止や縮小、練馬区立しらゆり荘の大規模化、地域に根差した親の会などへの運営の引継ぎなどの事業変更が行われました。同じく平成24年、東京都から障害者グループホーム等利用者単身生活移行モデル事業を受託し、単身生活移行者の支援を実施し、その内容を東京都とその他の法人と情報共有を行いました。この事業は3年間続き、サテライト型住居の開設、通勤寮連携型グループホームの創設につながりました。さらに平成24年はすだちの里すぎなみの地域移行の場であるグループホームらいむ松庵の開設がありました。その後、とぶき育成園の地域移行の場であるグループホーム梛、地域生活支援拠点型や日中サービス支援型の原型とも言えるグループホームえにし、名実ともに地域生活支援拠点型としての居住の場となるniimaの開設と、重度の方の暮らしの場を増やしてきました。このように、都育成会のグループホームでは暮らしのあり方の多様化に対応する10年でもありました。今後は、暮らしの場のサービスのあり方は、ますます個が尊重される方向に進むかと思います。時代のニーズに応じられるように一歩一歩前進できる次の10年となるように引き続き努力して参ります。076


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