東京都手をつなぐ育成会 60周年記念誌

育成会 60周年記念誌


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未来につなげるそれぞれの施設の取り組みご本人を中心としてつながる相談支援の輪練馬区立大泉障害者地域生活支援センターさくらセンター長藤巻鉄士18歳で作業所に通い始めた利用者に、「ウルトラマンになりたい…」という人がいました。それは、どんな自分になりたいですか?」という相談員の質問への答えでした。深刻な表情でしたので、じっくりと聞いてみました。彼は涙ぐみながら、長い時間かけて次のようなお話をしてくれました。「僕には大好きなかっこいいお父さんがいたんだ」でもお父さんは2年前にガンで亡くなってしまった」「僕がもっと強かったらお父さんを助けられたのに…」これからは、僕がお母さんとお姉ちゃんを守らなきゃ」「ウルトラマンのようになって家族を守る」これが相談支援の計画の冒頭に書く「叶えたい希望」です。その方法を一緒に思い描くのが相談支援です。「どうやったら家族を守れる?」ご本人、ご家族、関係者が集まって、何度か話し合いを重ねました。ある時、お母さまから提案がありました「工賃で、家族が食べるお米を買ってほしい」。そうして、毎月の工賃日にお米を買いに行くのが、彼の役割になりました。彼は家族を助けるために毎日事業所に通い、家族は毎日、彼のお米を「おいしいね!」と言いながら笑顔で食べたそうです。数年が経ち、お姉さまは結婚して家を出ました。そして、今度はお母さまが重い病気になってしまったのです。しかし、思いのほか彼の動揺はなく、「家を出るからグループホームを探してほしい」との申し出がありました。僕の自立でお母さんが安心できる」「お母さんは僕を気にせずに病気と闘える」という思いでした。関係者が協力して彼とお母さまの生活を組み立てました。グループホームが決まり、お母さまのお見舞いの時に報告することができました。堂々とした自立によって、彼は家族を守りました。相談支援は、利用者と家族の希望を叶え、利用者の生涯の成長を支援します。そのために必要な様々な人や機関を探し、叶えたいイメージを伝え、つないでいきます。また、一人の希望や困りごとの向こうに、たくさんの人の希望や困りごとが見える時には、必要な支援の仕組みを行政や地域自立支援協議会等に提案します。現在、育成会には約30か所の相談支援事業所があります。皆さんも相談員に「叶えたい私」を話してください。相談員は、必ずいっしょに叶える方法を考えます。※利用者を特定できないように内容を変えています。おしゃれ講座(マニキュア)喫茶スタッフ体験ds大泉さくら全景料理講座大泉さくら083


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