東京都手をつなぐ育成会 60周年記念誌

育成会 60周年記念誌


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未来につなげるそれぞれの施設の取り組み暮らしと仕事を支える通勤寮は1971年(昭和46年)に制度化されて以降、障害者自立支援法の事業体系再編において廃止されたものの、「つなぎ法」において「宿泊型自立訓練」として位置づけられ、現在に至っています。この10年を振り返ると、障害者総合支援法へと法律が変わり、都内にある6つの通勤寮はすべて東京都から民間移譲されることになりました。民間移譲においては、新たに都型通勤寮認定要綱が制定され、利用者の受け入れにおいて就労が必須となること、社会的養護者や年金未受給者を積極的に受け入れることが明記されました。また、軽度知的障害者の増加、児童養護施設利用者の手帳保有率および通勤寮利用希望者の増加等の状況を踏まえて、通勤寮連携型グループホームという新たな支援体制を創設し、増加するニーズに対応することとなりました。大田通勤寮は2015年(平成27年)4月に民間移譲されてから、程なくして建物の老朽化に伴い、2017年(平成29年)11月大田通勤寮施設長朝熊貴史には大田区大森西から東六郷へ事業所を新築移転しました。移転に伴い、これまでの通勤寮では当たり前であった共同部屋から全部屋個室となり、防災・防犯設備が強化され、より安全で安心できる暮らしを実現しています。また、飾通勤寮、立川通勤寮に続き、2019年(令和元年)7月に通勤寮連携型グループホーム「連携型大田」を開設し、通勤寮と同様の支援を受けながら、グループホームでの生活を経験し、地域移行を目指すという新たなスキームにおける支援を展開しています。通勤寮利用者のように、働きながらそれぞれの地域生活を目指す方々にとって、自由に住みたい場所を選ぶこと、安定した収入を得ること、安心した暮らしを続けていくこと……これらはまだまだ十分ではないと感じてしまうことがあります。「もっとこうであったらいい!」という思いを声にして、発信していくことが、身近にいる私たち支援者の変わらない大きな使命であると思います。連携型大田リビング連携型大田玄関大田通勤寮玄関連携型大田居室081


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